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# 情報漏洩の80%は権限放置が原因?最小権限の原則と月1回の見直しで今すぐ実行できるセキュリティ対策

# クリティカルデータアクセス管理:最小権限の原則と定期的な見直し

## 【今すぐ試せる具体的なセキュリティ対策】

情報セキュリティに不安を感じている方は、まずこの3つから始めてください。

1. **パスワード管理ツールの導入**:1Password、Bitwarden、LastPassなどのツールを使い、強力で異なるパスワードを各システムに設定する
2. **アクセス権限の整理**:従業員が現在の職務に必要なシステムへのアクセス権のみを持つように確認・削除する
3. **月1回の権限チェック:退職者や部署異動者のアクセス権が削除されているか確認する習慣をつける

これら3つは企業規模を問わず、今日から実行できます。では、なぜこのようなセキュリティ対策が必要なのか、詳しく見ていきましょう。

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ポイント1:最小権限の原則とは

「最小権限の原則」とは、従業員が仕事をするために必要最小限のアクセス権のみを与えるという考え方です。専門用語では「Principle of Least Privilege(PLP)」と呼びます。

例えば、営業部門の従業員が経理システムの全権限を持つ必要はありません。必要なのは売上報告書を提出するための限定的な機能だけです。このように権限を絞ることで、情報セキュリティ対策として非常に効果的です。

なぜでしょうか。理由は2つあります。

まず、**内部からの漏洩リスクを減らせる**ことです。退職者や悪意のある従業員がアクセス可能なデータを最小限にすれば、重要な情報が流出する可能性が大幅に低下します。

次に、**システム侵害時の被害を限定できる**ことです。サイバー攻撃で1つのアカウントが乗っ取られた場合、そのアカウントの権限範囲内でしか被害が及びません。権限が多いほど、攻撃者が操作できる範囲は広がってしまいます。

実装方法としては、職務内容ごとに「ロール」(役割)を定義し、そのロールに必要な権限だけを付与する方法が一般的です。営業ロール、経理ロール、管理者ロールというように分類することで、権限管理がシンプルになります。

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ポイント2:定期的な見直しがセキュリティ対策の鍵

最小権限の原則を導入しても、その後ほったらかしでは意味がありません。**定期的な見直し**こそが、実効的なセキュリティ対策を支える基盤です。

組織には常に変化があります。新入社員が入社し、従業員が退職し、部署異動が発生します。その都度、アクセス権限も更新する必要があります。多くのセキュリティ事故は、こうした「古い権限」が残っていることが原因です。

具体的には、**最低でも3ヶ月ごと、理想的には月ごとに見直し**を行うことをお勧めします。見直しプロセスは以下の通りです:

1. 全従業員のアクセス権リストを出力する
2. 部門長や管理者に「このリストは正確か」「必要ない権限はないか」と確認させる
3. 不要な権限を削除し、記録に残す

このプロセスに時間がかかる場合は、自動化ツールの導入も検討してください。アクセス権管理ツール(IDaaS※など)を使えば、定期的な見直し業務を効率化できます。

※IDaaS:クラウドベースの身元確認・認証サービス。複数のシステムへのアクセス権を一元管理できます。

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ポイント3:組織全体でのセキュリティ対策文化の構築

最後に重要なのは、セキュリティ対策を「IT部門だけの仕事」と考えないことです。

経営層から一般社員まで、組織全体がセキュリティ対策の重要性を理解する必要があります。そのためには:

**定期的な教育・啓発活動**が欠かせません。月1回の社内メールで「不要なアクセス権を要求されたら報告する」といったメッセージを発信することや、年1回のセキュリティ研修を実施することが有効です。

**明確なポリシー文書**も必須です。「アクセス権申請の手順」「権限の見直し頻度」「違反した場合の対応」などを書面化し、全員が理解できる状態にしておきましょう。

**責任の明確化**も重要です。誰が権限管理の最終責任者なのか、誰が定期見直しを実行するのかを明確にすることで、セキュリティ対策が実行され続けます。

最小権限の原則と定期的な見直しは、情報セキュリティ対策の中でも特に基本的で、かつ効果的な手段です。高額な外部ツール導入なしでも、今日から実践できます。あなたの組織のセキュリティ対策を今すぐ強化してみてください。

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