# Excel中級者が知るべきSKEW、KURT関数による分布分析
## 冒頭:すぐに試せる具体的な関数と活用法
Excel中級者であれば、SUM関数やAVERAGE関数は日常的に使用していると思います。しかし、データ分析をさらに深掘りしたい場合、**SKEW関数とKURT関数**を活用することで、データの形状や特性をより正確に把握できます。
まず、すぐに試せる実例をお示しします。売上データが列Aの1行目から100行目まであるとき、以下のように入力してください:
**=SKEW(A1:A100)** → データの歪みを数値化
**=KURT(A1:A100)** → データの尖り具合を数値化
この2つの関数 結果を見るだけで、データがどのような分布を示しているのかが一目瞭然になります。
## ポイント1:SKEW関数でデータの非対称性を見極める
SKEW関数は、データの**歪度(わいど)**※1を計算する関数です。簡単に言うと「データが左右対称からどれだけズレているか」を数値で表します。
結果の見方は単純です:
– **0に近い値** → データが対称的(バランスが取れている)
– **正の値(プラス)** → 右に長く伸びている分布
– **負の値(マイナス)** → 左に長く伸びている分布
例えば、給与データを分析する場合、SKEW関数で正の値が大きければ、一部の高給与者に引っ張られている可能性があります。人事部門の給与設定をチェックする際、このような偏りの発見は意思決定に大きく影響します。
Excel関数の中でも、このSKEW関数は使われる頻度は低いですが、データの品質を判断する上で非常に有効です。
## ポイント2:KURT関数で分布の尖り具合を数量化する
KURT関数は、データの**尖度(せんど)**※2を計算します。「データが中心に集中しているか、それとも散らばっているか」という特性を数値化するものです。
結果の解釈は以下の通りです:
– **0に近い値** → 正規分布※3に近い(一般的な分布)
– **正の値(プラス)** → 尖りが強い(中心に集中している)
– **負の値(マイナス)** → 平坦である(散らばり気味)
製造業の品質管理では、この指標が重要です。製品の不良率や寸法のばらつきを分析する際、KURT関数で分布の形を把握することで、改善施策の方針が変わってきます。
## ポイント3:SKEW関数とKURT関数を組み合わせた実践的分析
最も活用価値が高いのは、この2つのExcel関数を一緒に使うことです。営業成績や顧客満足度など、複数のデータセットを比較する場合、以下のように並べて表示します:
| データセット | SKEW値 | KURT値 | 解釈 |
|—|—|—|—|
| A営業所の売上 | 0.5 | 1.2 | 右に偏りがあり、中心に集中している |
| B営業所の売上 | -0.3 | -0.8 | 左に軽く偏りがあり、散らばっている |
このように見ることで、「A営業所は安定した売上があるが、一部の大型案件に依存しており、B営業所は売上が分散しているが波乱万丈」という定性的な判断が、数値で裏付けられます。
データ駆動型の意思決定を目指すExcel中級者にとって、この分析手法は業務効率化と意思決定の質向上の両面で大きく貢献します。
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※1 歪度:データの分布が左右対称からどれだけズレているかを表す統計量
※2 尖度:データの分布が正規分布と比べてどれだけ尖っているか、または平坦かを表す統計量
※3 正規分布:統計学で最も一般的な釣鐘型の分布形状





