# 確率分析の達人!中級者のためのNORM関数群の活用術
## すぐに試せる具体的な関数活用法
中級者向けのExcel関数として、まずはNORM.DIST関数とNORM.S.DIST関数の組み合わせをお勧めします。例えば、営業成績のデータが平均100万円、標準偏差※1が20万円の場合、120万円以上の確率を求めるには以下のようにします:
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=1-NORM.DIST(120,100,20,TRUE)
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このTRUE引数により累積分布関数※2が計算され、すぐに確率が求められます。さらに業務効率を高めるなら、NORM.INV関数で「売上が上位10%に入るには何円必要か」という逆算もできます。
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=NORM.INV(0.9,100,20)
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これらの関数を組み合わせることで、複雑な統計計算が数秒で完成します。
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## ポイント1:NORM関数群とは何か、なぜ重要なのか
NORM関数群は、Excelで正規分布※3に基づく確率計算を行う強力なツール群です。データ分析やリスク管理、品質管理など、ビジネスシーンで頻繁に活用される計算に欠かせません。
正規分布とは、自然界や社会現象に広く存在する「釣り鐘型」の分布パターンです。売上数値、顧客満足度、製造製品の寸法など、多くのビジネスデータが正規分布に従う傾向があります。
この分布を理解し活用できれば、「今月の売上が目標を達成できる確率は何%か」「不良品が発生する可能性はどの程度か」といった重要な判断がデータに基づいて可能になります。まさにExcel関数を使いこなすビジネスパーソンの必須スキルと言えるでしょう。
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## ポイント2:NORM.DIST、NORM.S.DIST、NORM.INVの違いと使い分け
3つの主要なNORM関数には、それぞれ異なる役割があります。
**NORM.DIST関数**は、指定した値が発生する確率を計算します。例えば「ある製品の重さが105gである確率」を求めるときに活用します。このExcel関数は最も汎用性が高く、平均値と標準偏差を自由に設定できるため、様々なデータ分析に対応できます。
**NORM.S.DIST関数**は標準正規分布※4を使用する特化型です。標準化されたデータ(Z値※5)を扱う場合に便利です。異なるデータセット同士を比較したいときに重宝します。
**NORM.INV関数**は逆関数で、「上位20%に入るための数値は?」という目標値から確率を逆算できます。営業目標設定や品質基準の決定に活躍するExcel関数です。
これら3つを使い分けることで、単なる集計ツールではなく、真の分析プラットフォームとしてExcelが機能します。
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## ポイント3:実務での具体的な活用シーン
コールセンターの応答時間分析を例に挙げます。過去データから平均応答時間が3分、標準偏差が0.5分とわかったとします。
顧客満足度を高めるため「90%の顧客に4分以内で対応する」という目標を立てたとき:
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=NORM.INV(0.9,3,0.5)
“`
この計算で、3.64分が目標値と判定されます。つまり、4分以内の対応は十分達成可能です。
また品質管理では、製品の不良率予測に使えます。許容範囲を超える製品が何%発生するか、NORM.DIST関数で即座に把握できます。これにより無駄な検査コストを削減しながら、品質基準を維持できます。
さらに営業予測でも活用可能です。過去の売上データから正規分布を仮定し、来月の売上が目標を達成できる確率を算出。リスク管理や経営判断の精度が格段に向上します。
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※1 標準偏差:データのばらつき具合を示す数値。小さいほどデータがまとまっている
※2 累積分布関数:ある値以下の確率を示す関数
※3 正規分布:釣り鐘型の統計分布で、自然現象に多く見られるパターン
※4 標準正規分布:平均0、標準偏差1に標準化された正規分布
※5 Z値:データを標準化した値で、平均からの距離を標準偏差単位で表す





