睡眠

朝日と夜の暗さで睡眠が変わる!光のリズムが作る質の高い眠りの科学

# 光と睡眠の密接な関係を科学する

## 今日から始める!光と睡眠を整える3つの実践法

**1. 朝日を浴びる習慣をつける**
毎朝、起床後30分以内に日光を浴びてください。カーテンを開けて、できれば窓の近くで過ごすか、外に出ることが理想的です。10~20分程度でも効果があります。

**2. 夜間のブルーライト対策**
寝る1~2時間前から、スマートフォンやパソコンの使用を減らしましょう。どうしても使用する場合は、スマートフォンのナイトモード機能を活用してください。

**3. 就寝環境の暗さを確保**
寝室は完全に暗くすることが理想的です。照度計がなくても、手を顔の前にかざして見えない程度の暗さを目安にしてください。

## ポイント1:朝日がもたらす健康な睡眠メカニズム

光と睡眠の関係を理解するうえで、最も重要な要素が「体内時計」です。体内時計とは、人体に備わった約24時間周期のリズムで、睡眠と覚醒を調整する生物学的なシステムです。

朝日を浴びることで、脳の中心部に位置する視交叉上核という部分が光を認識し、この体内時計をリセットします。特に午前中の光は、その後の睡眠の質に直結する重要な信号となります。

実は、現代人の多くが朝日不足に陥っています。曇りの日でも、室内の照度(※明るさを数値化したもの)の約20~100倍の光が窓から入ってくるため、毎日の朝日浴は健康的な睡眠習慣を作る最も簡単で効果的な方法なのです。

朝日を浴びると、セロトニンという神経伝達物質※が分泌され、気分が前向きになります。さらに、この朝のセロトニン分泌は、約14~16時間後にメラトニンという睡眠ホルモン※へと変わり、夜間に自然な眠気をもたらします。つまり、朝の光が夜間の質の高い睡眠を生み出す、という見方ができるのです。

※神経伝達物質:脳の神経細胞間で情報を伝える化学物質
※睡眠ホルモン:眠気を促進するホルモン

## ポイント2:夜間の光が睡眠を妨害する理由

対照的に、夜間に浴びる光、特にスマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、睡眠の大敵です。このブルーライトは、波長が短く、エネルギーが強いため、脳を「まだ昼間だ」と勘違いさせてしまいます。

結果として、メラトニンの分泌が抑制され、睡眠の準備が整いません。これが現代人の睡眠の質低下に大きく関わっています。

さらに問題となるのは、このメラトニン抑制が翌日の体内時計にも悪影響を及ぼすという連鎖です。夜間の光により睡眠が浅くなると、朝の目覚めが悪くなり、朝日への感度も低下します。この悪循環に陥ると、健康な睡眠リズムの回復に時間がかかります。

寝る1~2時間前からのスクリーン時間を減らすことは、単なる睡眠対策ではなく、翌日の活動の質にも直結する健康投資なのです。

## ポイント3:睡眠環境としての暗さの重要性

質の高い睡眠を得るには、就寝環境の暗さが不可欠です。わずかな光でも、睡眠中のメラトニン分泌に影響を及ぼすことが研究で明らかになっています。

寝室に光が入っている状態では、浅い睡眠状態が続き、深い睡眠へと移行しにくくなります。深い睡眠こそが、心身の疲労回復と、免疫機能の強化をもたらす重要な段階なのです。

照明器具の赤色光は、メラトニン抑制が少ないため、どうしても夜間に照明が必要な場合は赤色光の導入も効果的です。また、寝る際にアイマスクを使用することも、手軽で確実な方法として推奨できます。

光と睡眠の関係は、単に「暗くしたら眠くなる」という単純な話ではなく、生物学的なホルモンメカニズムに基づいた科学的事実です。朝日を浴びて、夜間の光を避け、寝室を暗くする。この3つのシンプルな実践が、健康な睡眠と、ひいては全身の健康へと繋がるのです。

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